こんにちは!世界史周遊記です。
今回は第一次世界大戦がアメリカに及ぼしたある社会的変化についてまとめました。
アメリカ社会というと、アメリカの政党が出す政策や主流となる考え方や主義がコロコロ変わる社会ということで知られています。
例えば直近で言うと、トランプが主張してきたアメリカ国内の産業を保護する「アメリカ第一主義」の政治。
メキシコからの移民を壁を建設することで入れなくしたり、気候変動に関するパリ協定から離脱したりと「アメリカ第一主義」を推し進めました。
しかし、その後のバイデン大統領は「国際協調」をメインとした政治にシフトチェンジします。
「歴史を振り返ると未来が分かる」などと言いますが、
そういう意味で言うと、アメリカの歴史を振り返って分かる未来としては「予測ができない未来」を予測できるかもしれません。
今回は、アメリカが第一次世界大戦に参戦したときの国内世論やその背景にあるある文化についてまとめました!!
孤立主義からの転換
まず、第一次世界大戦がなぜ起こったのかというと、簡単にまとめると、列強国の利害関係が悪化したから、ということができます。
当時、そういったいざこざに巻き込まれたくない、なんなら自国の安全と利益を守りたいという考えを持っていたのが、アメリカです。
他国の対立には干渉しない、自国とその従属国を守る内政を重視する当時のアメリカは「孤立主義」と呼ばれました。
しかし、アメリカは第一次世界大戦をきっかけに孤立主義を転換しなければならなくなります。
1915年5月5月、イギリスの豪華客船ルシタニア号がドイツの潜水艦によって撃沈される事件が起こりました。その際、多数のアメリカ人が犠牲になったのです。
その事件をきっかけにアメリカ国内では次第に反ドイツ感情が強まっていきました。
国際世論としても、そしてドイツとしても、アメリカの報復を受けることは避けたいというムードができました。
さすがにドイツも空気を読んで、いったん潜水艦攻撃を中止することにします。
それで終わっておけばよかったのですが、ドイツ軍部からの無謀な命令により、潜水艦攻撃を再開することになりました。
当然のように、アメリカのひんしゅくを買う結果となりました。
1917年4月6日、アメリカはドイツへ宣戦布告。
アメリカが、第一次世界大戦へ参戦することになったのです。
参戦によって起きたアメリカ国内の変化
今回は、これまで孤立主義を貫いていたアメリカが、第一次世界大戦の参戦によって起きた大きな社会的変化についてスポットライトを当てたいと思います。
それは、禁酒運動の活発化です。
禁酒運動は19世紀あたりから、アメリカ国内のあちこちで始まっていました。
禁酒運動の背景には、アメリカの精神主義の高まりやキリスト教の道徳を守ろうという保守派の動きがあると言われています。
そして、20世紀の第一次世界大戦をきっかけに、「禁酒を法律として禁止にしよう」という動きが高まります。
その背景として、アメリカの第一次世界大戦の対戦国である、ドイツの主要産業が大きく関わってきます。
潜水艦を無制限にぶちかましてアメリカの怒りを買ったあのドイツは、世界有数のビール産出国です。
表向きには「潜水艦攻撃をしてきたドイツに対する報復」という目的で参戦した第一次世界大戦でしたが、
禁酒運動が盛り上がり見せていた当時、「ドイツの主要産業であるビール醸造業を潰してやろう!!」という声が上がるようになったのです。
また、「アメリカ国内の穀物を節約して戦地の兵士たちへ送ろう!!」という声も禁酒運動をさらに加速させました。
第一次世界大戦の参戦は、「ドイツの主要産業であるビール醸造業を追い込もう!」「戦地へ食料を送るために、穀物の消費をおさえよう!」という主張によって、禁酒主義者の支持を強めるきっかけとなりました。
その後、1919年10月に禁酒の具体的な内容を含めたヴォルステッド法が成立し、翌年1月からアメリカは禁酒時代に入ることになります。
いかがだったでしょうか?
アメリカの第一次世界大戦参戦は、アメリカの法律が一つ変わってしまうほどの影響を及ぼしていたんですね。
「戦争は国内世論さえも変えてしまう」
この事実は、私たちに何を問いかけているのでしょうか。
最後まで読んでいただきありがとうございました!